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りゅーかんの高専キャリア教育論

高専生の価値、高専生のキャリアについて議論するためのブログです。

人口オーナス問題と働き方の変化~21世紀の労働のありかたとは~

りゅーかんのひとりごと 高専についての基礎知識

3行でまとめると

  • 人口オーナス問題により経済的な試練が訪れるよ
  • 働き方が大きく変わる必要があるよ
  • 若者が成長産業で早期活躍することはとても重要だよ

人口オーナス問題とは

「人口オーナス問題」は聞き慣れない言葉ですが、メディアでよく出る「少子高齢化」に近い言葉です。簡単に言ってしまうと、「人口における非労働人口(従属人口)が増加することで経済的な問題が生じる」ということです。経済的な問題を身近な事例に例えると、「子育てしながら更に親の介護をして働かなくてなならず、お金がかかる上に十分に働く時間もない」という人がどんどん増えるということです。今でもこういった困難に臨んでいる人もいると思いますが、これから日本ではこういった状況に置かれる人が当たり前となるかも知れないのです。困りましたね。

この現象は世界的に(人口構造を原因とする)同じルールで起こっていると言われており、有名どころで言うとハーバード大学のデイビッド・ブルーム教授らにより「アジアの奇跡と呼ばれる経済成長は人口構造により引き起こされた」という論文があります。

概論などは色々な人が書いているのでこちらを参考にして下さい。

http://www2.jiia.or.jp/pdf/resarch/H23_competitiveness/1komine_competitiveness.pdf

http://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Download/Report/2011/pdf/109_ch1.pdf

人口オーナス期の日本でこれから起こること

一般論の話はさておき、我々一人ひとりに対して何が起こるのかを具体的に見てみましょう。

年金や社会保険の支給額が減るので子世帯の介護負担が増加する

日本の社会保障は基本的に「賦課金方式」で成り立っています。簡単に言うと、「今働いている人が収めた年金が今の受給者に支払われている」ということです。ちなみに対立する方法は「積立方式」で、自分が積み立てたお金が自分に支払われます。年金がなぜ賦課金方式なのかは置いておいて、少子高齢化の時代にこのモデルが継続出来ると思いますか?難しいですよね。働いている人より年金をもらう人が多いわけですから、当然支給額が減ってしまいますよね。実際には、「年金負担額が増加している」「年金支給額が減少している」というダブルパンチを受けています。

将来(そもそも年金は破綻するんじゃないの?)の話はさておき、この現象は、これから退職を迎え年金生活に入る方々はこれまでよりも経済的に貧しくなることを意味します。そうなると、豊かな生活が送れないどころか、お金をかけて介護を受けることが難しい状況になる可能性も出てきます。困りますね。困ってしまうので、その時には子供に助けてもらう必要があります。すると、どうなるでしょう。「少子高齢化×介護負担増加」が起こると、働く人が介護に参加する必要が出てくるため、現在のように毎日8時間以上きっちり働くことができなくなります。働いているみなさん。毎日安定して8時間働けなかったらどうなりますか?正社員で働けなくなる人も出てきますよね?そういった事例が積み重なると、更に日本の労動者が減り、社会保障が減り、という悪循環が生まれます。放っておくと、日本経済全体が弱くなり、幸せな生活もできなくなってしまうかも知れません。

政府が打ち出してきた政策 

人口オーナス問題に対して、アジアの中で高齢化が著しく進んでいた日本ではいくつかの政策的な打ち手が講じられてきました。

  • 年金支給開始の年齢を引き上げる

最初に行われたのは年金支給年齢の引き上げです。もともとは60歳からもらえるはずの年金が、徐々に65歳からの支給にいこうしています。言ってみれば、「都合により年金すぐにあげられないけどごめんね」という状況になったわけです。それに伴い、退職年齢の引き上げや再雇用が普及し、労働者は60歳から65歳まで働くようになりました。全体として、「年金支給額の減少」と「労働力確保」が両立するような施策となったわけですね。貰う側からしたらたまったもんではありませんが、それくらい切実に経済難が訪れているということです。

  • 女性が労動に参加する

さて、老人が働くようになったら次は女性です。ここ数年の「待機児童0」を目指した活動は、産後の女性がしっかりと働ける環境を作るための政策です。女性の社会参加については男女雇用機会均等法から動いていますが、近年の(特に産後の)女性に対する配慮は、男女平等の観点ではなく経済難をしのぐための観点で推進されているわけです。産後の女性がスムースに社会復帰できることによる経済効果は非常に高いと試算されており、目下政府と産業界が真剣に取り組む課題となっています。

  • 若者が早期に労動に参加する

その次に期待されているのは若者が早期に労働力になることです。最近話題となっている実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議:文部科学省というものがあるのですが、要は、産業界で即戦力になるようにさっさと学生を鍛えましょうという取り組みですね。個人的にはそれが高専だと思うのですが、数が足りないし工業に特化しているからイマイチという評価なのでしょう。ともかく、若者が早期に社会で活躍することを社会が強く望むようになっているということです。

働く人が多様化することで、働き方も変化する必要が出てくる

さて、一昔前は「20-50歳の男性」が会社の中心でゴリゴリ働いていた時代なのですが、上記のような政策が行われると同じような労働環境が維持できなくなります。20歳の若者と産後の女性と65歳の老人が職場で一緒に働くわけですよ。そりゃいろんなことが起こりますよね(しみじみ)。子供が熱を出したり、親が体調を壊したりしたらすぐに駆けつける必要もあり、労働時間の確保が難しくなります。基本的に1日8時間の労動が不可能な人も当然出てきます。

それに合わせて多様な働き方を認めるよう産業界は動いており、リクルートという大企業がリモートワークを全面的に推進して働き方の選択肢を増やそうと努力していたりします。

www.recruit.jp

成熟した日本社会では人々のニーズも多様化しているため、様々な価値観を持つ人たちがチームを組んで働くことは、企業が安定して成長するために有効な対策でもあり、既に多様な人が働く環境を整備することで売上利益を向上させている企業の報告も出ています。

若者の早期活躍が未来を変える道標となる

さて、そんなわけで、これから日本は経済難を迎える可能性が高く、それを脱却するために総出で働くことが求められてきます。しかし、未来を担うのは常に若者なわけで、個人的には、若者がいかに成長産業で早期に活躍できる社会を作るかが本質的な課題であると考えています。

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上の図はこれまでの話をまとめたものです。

「若者が早期に社会で活躍する」「成長産業で高い成果を出す」ことが重要なのですが、高学歴化やビジネススキルの不足が原因でまだまだそれが推進されていないと僕は考えています。また、「最近の若者は」と年寄りは言いますし、「(成長性はともかく)出来れば名前の知っている会社に入って欲しい」と親は考えます。世の中いつもそんなもんです。

それでも、未来を担う若者が「早くいい仕事に就き」「大きな成果と収入を手に入れる」世界を作らなくてはならないと僕は思っています。高専は20歳で高等教育が修了する日本唯一の機関であり、社会実装教育などの実践性を高めるプログラムも展開されています。古巣であるというきっかけもあるので、僕は高専のキャリア教育を通じて「若者が成長産業で早期に活躍する世界」のロールモデルを作りたいと思っています。

 

追伸:人口オーナスとか安易に突っ込んじゃいけない複雑な内容を説明しようとしたため話がまとまっていませんすみません。