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りゅーかんの高専キャリア教育論

高専生の価値、高専生のキャリアについて議論するためのブログです。

高専生のイケてないところを書きます!

高専についての基礎知識 りゅーかんのひとりごと

3行でまとめると

  • 高専生らしいイケてない部分があります
  • そこがまた独特でいいんです!
  • 社会に放り出されても大丈夫な準備は必要(だからキャリア教育を…!)

何故に高専生のイケてないところを書くのか?

このブログは基本的に「高専生ウェーイ!」な雰囲気を醸し出しています。出来るだけ定量的な情報に基づいて、課題はあるものの高専生は素晴らしいという論説を展開しています。ブログを運営するにあたっての根本思想がそこなので仕方がないのですが、一方で、高専生は他の学生と比較して完璧でもなんでもないわけで、そのへんのバランスを取るためにあえて不の側面にフォーカスしてみようというのが、この記事を書くに至った背景です。イケてない部分についての根拠は「先輩/同輩/後輩」「企業」「学校」の方々と話してきた経験に依存しておりますので、正確性についてはご容赦下さい。

高専生のイケてないところ①:出来る人と出来ない人の差が激しい

これは間違いないです。入学時の偏差値が平均62はあろう高専生ですが、5年間の間に出来る人と出来ない人が結構きっぱりと分かれます。どれくらい分かれるかというと、1年が終わる時点で既に数クラスに1クラスで留年生が発生するような勢いです。卒業時には40人クラスの5-10人は留年或いは退学をして一緒に卒業できない状態になります。一方で、卒業後に大企業に入る人、東大に進学する人もいます。

なぜなのか?

留年が普通だから先生はあまり気にしない?

そもそも留年する人が多いので、授業についていけない学生がいても先生はあまり気にしません。「どんまい」みたいなね…。

 

ウソです!そんなことはありません!

 

ちゃんと先生はフォローしてくれます。補講や再試験もあります。でも、それでも出来ない人の割合と出来なさ具合が目立つんです。

なぜなのか…。

学業成績と学校活動がリンクしていない!?

答えらしきものが高専研究家の矢野先生が提出したデータにありました。

www.innovative-kosen.jp

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ご覧頂けますでしょうか。「ロボット好き」は学業成績が悪い…。インターンシップ好きも学業成績が悪い…。別に遊んでるわけじゃないのに、ていうかロボコン高専の代名詞と言っても過言じゃない伝統文化なのに…。

恐らくなのですが、授業の難易度が高いために、授業以外のところでエンジョイ生活をすると追いつけなくなるんですね。それがアルバイトであってもロボコンであっても同様、ということです。

あまりにも自由な環境に15歳で身を置いてしまう

それに加えて、高専はあまりにも自由な環境を提供しているため、一度エンジョイポイントを見つけると誰も留めることが出来ない、という良くも悪くも高専らしい状態が生まれます。好きなことに熱中する学生を見て「いや、いいから勉強しろ!」という先生は(良くも悪くも)いません。ある意味で個人を尊重した結果であり、ある意味で学業に対してコンサバな風土があるということを原因として、「めっちゃ現場力高くて実績もあるのにいつも留年しそうなあの人!」が生まれるわけです。

高専生のイケてないところ②:外の空気に触れないので社会性が低い

これも間違いないですね。高専生は概して、5年間40人クラスの中で純粋培養されスクスクと育ちます。高校や大学との交流は公私ともに極端に少なく、企業と触れ合う機会もあまりありません。その結果、40人のクラス、200人の学年、1,000人の学校で独自の文化が醸成されます。上下関係も友好関係も恋愛関係も、その単位の中で発生します。大体、クラスのあいつとそいつと、あの先輩と付き合っていく事になります(言い過ぎ?)。

さて、そんな生活を5年間送った後に突然会社に入って、外の世界で上手いことやっていけると思いますか?まぁ、難しいですよね。一般社会や大人の世界を殆ど知らずに社会の現場に突き落とされるわけで、社交辞令も報連相も知らないウブなお子様だとして舐められてしまい、結構な高専生が実力を発揮出来ずに苦しむことになります。また、工学的な思考回路を持っていることも手伝って、一般的な社会人とは考え方も行動の仕方も異なるため、余計に土壷にハマりやすい傾向もあると思います。

これは自己体験も含めて多分真実です。

一方で、その外れた感覚は高専生の強みでもあり、社会性が足りないために高専生の圧倒的な現場力や工学的な思考回路が活かされないとすれば、企業や社会にとっても大きな損失になります。しかも、あんまり普通の人になると高専生らしさが失われるかも知れないという、実は難しい問題なのではないかと思っています。

高専生の「らしさ」を維持しながら、社会で通用するスキルを如何に実装するのか、というウルトラA難易度のお題がここに潜んでいるわけですね。

高専生のイケてないところ③:応用力が低い

これは企業の方々に言われたことです。圧倒的な現場力について企業は高専生を最高に評価しているのですが、一方で、サービスや事業の応用性という抽象的なレイヤーになると大学生や院生に及ばないという評価も下されています。

これも結構微妙なところで、実践的な教育を通じて現場力を磨くことが高専教育の根幹にあるために、ある意味意図して失われているとも言える部分なのですね。でも、生産コストが低下している現代社会の企業では、高速で多数の事業を回す必要があるわけで、現場の人間にも抽象的な思考力や判断力が強く求められていると、個人的には感じています。

高専生はどうしてもミドルレイヤーのものづくり職人という気質(或いは社会期待)を持っているため、教育プログラムを工夫して応用力(経営、経済、事業開発)を磨く必要は大いにあると思います。

でも、そこがまた独特でいいんです!

頑張って高専生のダメ出しをしてみましたが、所々に高専愛がまぶされていることに気付かれたでしょうか?

そうなんです!

弱みは強みの裏返しなので、駄目なところなんてあって当然なのです。それを理解した上で、どうやって強みを活かすのかについて、大人である企業の人間が知恵を絞っていけばいいだけなんですよ。言ってみればマネージメントの基本です。グローバル化が現実に訪れている昨今の企業において、「あいつはちょっと普通じゃないよな~」なんて言っているマネージメント層は10年後には生き残れませんよ。

しかし、高専生がその独自性故に苦しんでいる側面を見過ごすわけにはいきません。ここは大人がグッと伴走して、「ちょっと独特で扱いづらいけれど、めちゃ仕事が出来る高専生」というブランドを構築しましょうよと、そのために必要な要素を整理して、構造的な解決策を展開しましょうよというのが僕の意見です。

 

はい、一気にこっち側に引っ張ってみました。

とりあえずどこに行っても死なないためのスキルセットを実装せよ

最近教育について語り合っている時に、「どこに放り込んでも、とりあえず死ななそうな人材」というキーワードが出て盛り上がっていたので採用してみました。

高専生は、

  • 実践性/バイタリティが高く
  • 工学的素養を高いレベルで修めており
  • 若くして高い技術力を身に着けている

などの強みを持ちながら、

  • 社会性が低い
  • 応用力が低い
  • 英語力が低い

などの弱みを持つため強みを発揮しきれない、と僕は考えています。

強みを活かして弱みが見えないくらい光り輝くにはどうしたらいいでしょうか。

 

色々な意見があると思いますが、最近僕が様々な人と話をしてきた中で出てきたのは、

  • 社会・企業についての知識を増やす
  • 金勘定(経営学、経済学)について学ぶ
  • 卒業前から企業でガチで働いたり事業を運営する
  • 海外でガチの仕事をさせる

などでした。

「圧倒的な実践力」と「若者のバイタリティ」を活かして、実践的な教育の場やリアルな実践の場に突っ込んでしまおうと、そこで実践的に社会の原理原則を学んでもらおうと、そんな感じのアイデアが多い印象でした。

 

 

 

あれ、高専生をディスるタイトルなのにいつの間にか「高専生ウェーイ!」な話になってしまいましたね。