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りゅーかんの高専キャリア教育論

高専生の価値、高専生のキャリアについて議論するためのブログです。

【2015年12月12日】卒業後10年の先輩が語る高専生のキャリア@東京高専

3行でまとめると

  • 30歳前後の4人が「卒業して10年の先輩が語る高専生のキャリア」を語ったよ
  • 学生、保護者、学校ともに、社会の変化についての情報不足を感じたよ
  • キャリア教育により高専生の価値を上げていきたい

高専でのキャリア講演が実現した背景

高専生向けキャリア教育を考える中で母校の先生と色々話していたことがきっかけでこの取り組みが生まれました。その前の夏頃から情報工学科の教授と色々話している中で、『卒業後10年くらいの人とはコネクションも切れているので、その後の人生について話してもらうのは面白い』というお言葉を頂いたんですね。また、卒業後2,3年の方々を迎える講演会を既に毎年開催している背景があり、その講演会に混ぜ込む形で今回の取り組みを実施することが決まりました。

実施概要

  • 日程・場所・対象者

  日程:2015年12月12日(土)

  場所:東京高専 5201教室及び8101教室

  対象:情報工学科3,4年生及びその保護者

  • 講演内容

  卒業して10年の先輩が語る高専生のキャリア

  • 目的

  卒業後10年経った人の話を聞くことでキャリアを考える機会を提供する

  • 話者

  りゅーかん(物質工学科 2004年卒 情報流通大手企業)

  友人①(情報工学科 2004年卒 情報系大手企業)

  友人②(物質工学科 2004年卒 生物系研究者)

  友人③(情報工学科 2006年卒 大手モバイルコンテンツ企業)

導入:りゅーかんの話

卒業後2,3年の方々の話の後で、学生及び保護者を前にして僕が話をしました。ぶっちゃげ話す内容をシャープに磨けていなかったので、「りゅーかんのキャリア(参考にならない)」「高専の価値」「人口オーナス問題」などについてとりとめのない話をしました。学生や保護者の方々からアンケートを頂くことが僕の目的だったのですが、後に集計すると「何が言いたかったのかよくわからなかった」という感想を複数頂きました。頑張れ、俺。

本番:卒業生3人のキャリア講演

その後、場所を移動して学生のみを対象に友人3人にキャリア講演して頂きました。上記の通りキャリアの積み方が異なる3人に話をして貰ってのですが、話者の3人はキャリアの振り返りと学生へのメッセージをしっかりと盛り込んだ話を展開してくれて、(開催側としては)素晴らしい時間となりました。

面白かった話のポイントとしては、

  • 学生の時の成績と10年後の活躍度は関係ないよ
  • 「やりたいこと」「出来ること」「やらなくちゃいけないこと」のバランスを上手く考えよう
  • 自分も学生の頃は何も考えていなかったらかそれでいいんだよ
  • 生命科学の分野でも情報工学者は活躍できるよ

のようなメッセージが出ていて、10年の積み重ねを感じさせてくれました。

※学生の時はろくでもなかったと学生に対して白状したのは(僕も含め)ほぼ全員だったことは内緒です

学生の反応

さて、そんな話をしてみた結果学生がどう反応したかというと、

  • 7割は興味なし(のように見えた)
  • 2割は興味はあるけれど自分事として捉えていない(ように見えた)
  • 1割の子達が色々質問してくれた
  • 1人は「僕もいつか講演する側になれるよう頑張ります」と言ってくれた!

だいたいこんな感じだったかなと思いました。

一人でも興味をもってくれれば嬉しいな、という期待値で実施していたので興味を持ってくれた人が数名いた事は大変嬉しいことでした。一方で、就職・進学活動が本格化しなければキャリアについて深く考えないという学生(或いは保護者も含め)の姿勢を改めて実感し、それに対してどのような解決策を展開するのかを真剣に考えねばと再認識しました。本来的には、入学直後からキャリアについて考えていた方がいいに決まっていますからね。

保護者の反応

講演後に取ったアンケートを集計すると、保護者の方々がいかに子供の幸せを願っているのかが浮かび上がってきました。

例えば、

  • お子様に対して「将来こうなって欲しい」というイメージはありますか?」

という質問に対して「特にない」と回答した方々のコメントがこちらです。

  • 本人のやりたいように進んで欲しい
  • 無事に自立して欲しいだけで、なって欲しいイメージ像は特に無い
  • 自分で選んで欲しい
  • 人生を楽しんで欲しい、そのために努力が必要であれば自分で頑張れ、協力する
  • 好きなことをすれば良いと思っているから
  • やりがいのある仕事を見つけて欲しい。常に勉強できる仕事。人のためになる仕事
  • 特に臨むことはないけれど、仕事の中に楽しさややりがいを持てることをやって欲しいです。
  • 広い視野を持って困難なことに遭った際に乗り越えていける力

「特に無い」と言いながらも、その背景に「好きなことをして欲しい」「その為に成長して欲しい」という非常に前向きで子供を信じる姿勢を感じますよね。親というのは本当に子供の幸せを願っているのだと心底感じました。

気になった点

その他、アンケート結果や当日の質疑応答を鑑みて気になった点がいくつかありました。

社会についての知識不足

「中小企業=ブラック」というコメントをある保護者の方に頂きました。これは、「そういうイメージは良くない」という文脈で記載されていたのですが、色々な方と話をすると、「学生」「保護者」「学校」はともに社会に対する知識が足りないなぁと感じることが多々あります。「大手は安定」「中小はブラック」「ベンチャーって何?」「大学に進学しないと良い企業に入れない」などなどの印象が現場にはあるのですが、どれも事実に基づいた意見というよりは、何となくメディアや過去の実績に基づいて語られているように思えます。「社会とその変化」「企業とその変化」などについての知識なくそういった話をしてしまうことが、学生のキャリア選択の幅を狭めているのではないかという懸念を個人的には抱いています。

高専の教育に対する自信不足

学生、保護者ともに大半の方々は「今の勉強では足りない」「進学した方がもっと学べる」という意識を持っています。そういう面はもちろんあるのですが、一方で、「高専生の圧倒的な現場力」について気づいていないところがあると思います。「結構すごいんだよ、高専卒業生は。」と言ってもなかなか伝わらないところも、情報不足により引き起こされているのではないかと思います。まぁ、進学した僕に言われてもって感じもあると思いますが。

今後に向けて

半年間の調整の末にキャリア講演会が実現し、実際に実施してみると色々な現場の意見や温度感を知ることが出来ました。

個人的には、

  • 諸先輩方のキャリア講演を中心とした啓蒙活動
  • 学生自身のキャリアイメージ作成への協力
  • スキルアップのための教育/実践プログラムの提供

などの展開を用意することで、「グローバル化」「流動性の増加」といった変化の起こる21世紀において活躍できる(或いはドロップアウトしない)人材を増やす活動をしていきたいと思いました。そのためにも、学生・保護者・学校の先生方と話をする機会を今後も作り出していきたいと思います。