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りゅーかんの高専キャリア教育論

高専生の価値、高専生のキャリアについて議論するためのブログです。

【群馬高専 物質工学科 2006年卒業】【今は食品会社に勤める2児の母】

高専卒業生のリアルなキャリア

執筆:2016年5月(30歳)

高専に入ったきっかけ

中学3年生の時に通っていた塾の模試結果に合格圏内の高校として記載されていたのが「群馬高専」でした。聞いたことのない学校だったので調べてみたところ、「国立(現在は独立行政法人)」で「5年制の理系高校」で「自由な校風」だということを知り、「なんかかっこいい」と思って進学を決意しました。

高専5年間、こうやって過ごしていました

授業・成績

他の方がおっしゃっているように、高専は怠慢をすると成績がどこまでも落ちていきます。私は、お恥ずかしながら怠けに怠けたクチです。志望校に合格した達成感と受験勉強からの解放感に身を任せ、授業をまともに聞こうとしていませんでした。その結果、成績は常にビリから10番以内、赤点は星の数ほど取りました。3年生の後期になって将来の目標を見つけ、「このままではいけない」と思い、遅ればせながら勉強を始めたことで少しずつ成績が持ち直し、大学にも進学することができましたが、基本的に高専時代は不真面目な生徒でした。    

部活動

陸上部のマネージャーをやっていました。高専の部活動は中学校や高校のそれとは異なり、かなり自主性の高いものでした。年に1度学生主体で予算会議を行い、会議で決まった予算の範囲内で部活動を運営していきます。大会に行くための手続きや準備も基本は学生だけで行います。マネージャーは選手の日常的な練習補助に加え、そのような事務も一手に担うポジションでした。と、偉そうに書いていますが、私の場合こういった活動の大部分は同期のマネージャーがやってくれていたので、私は練習に参加して騒いでいることが多かったような気がします。

課外活動

学生会(生徒会)の渉外部に所属していました。年に2度関東甲信越高専が集まって交流会を行うので、定期的に他高専と連絡を取り合ったり、幹事として交流会の準備を進めたりするのが主な仕事でした。目立つ仕事ではありませんでしたが、自分が幹事を務める交流会で参加者が楽しそうに意見を交わしている姿を見るのは、とても嬉しかったのを覚えています。

卒業研究

病原菌が産生する毒素の化学構造を調べることで、植物の病気の仕組みを調べるという研究に取り組んでいました。担当教官は学科の中で最も怖くて厳しい先生だったので、研究の進捗状況を報告する時や英論文ゼミの時はいつもお腹がキリキリしていました。
でも、そういった経験を経て、実験の基本的なスキルやタフさ、研究に対する姿勢を身に付けることができました。その経験は大学の研究室に所属した際にとても役に立ったので、今でもあの研究室に入ってよかったなと感じています。

私生活

私生活の多くはアルバイトに費やしていました。コンビニの接客、新聞配達、塾講師、イベントの補助・・・などなど色々な職業を経験しました。その中でも最も在籍期間が長く、後の人生に大きく影響を及ぼしたのがファストフード店でのアルバイトでした。
最も忙しくなるクリスマスはまるでお祭りのようで、みんなで楽しくも忙しない日々を過ごしたことは、今でもいい思い出です。

選択した進路とその理由

食べることが好きだからという理由だけで始めたファストフード店でのアルバイトでしたが、働いているうちに「将来は食品会社で働きたい」と思うようになりました。その為、高専で勉強してきたことを活かしつつ、食品について勉強できる学部(農学部)に進学することにしました。よくよく考えれば、高専を卒業してすぐに食品会社に就職するという選択肢もあったのですが、私の所属していた学科はその8割以上が進学を選ぶ傾向にあったので、当時は就職を選択肢に入れていなかったように思います。

その後のキャリア①:信州大学~大学院

大学時代は農学部の応用生命科学科(現在は農学生命科学科)に在籍していました。
動物、植物、細菌など食品にかかわるものを化学と生物学の視点から勉強していくといった内容でした。3年生への編入学でしたが、授業には問題なくついていくことができたので、成績は上の中あたりでした。

研究は胃がん原因菌が産生する酵素の阻害剤を香辛料から探すというテーマでした。新規発足の研究室だったので、大学4年生の時は研究がまだあまり進捗しておらず、その状態で卒業するのが嫌だったので、大学院への進学を決めました。大学生のころは漠然と研究職につこうと考えていましたが、院生活のなかで『自分は「種を生み出す」研究職よりも「生み出された種を作物に変える」生産技術職のほうが向いてるのではないか』と考えるようになりました。

その後のキャリア②:製薬会社 生産技術研究所所属

新卒採用時は食品業界に縁が無かったのですが、製薬会社から内定をもらうことができました。主な仕事は、研究所が開発した薬が現場で問題なく製造できるよう製法を検討するこで、やりがいと使命感を感じていました。しかし結婚したことを機に通勤に時間がかかるようになり、夫婦ともに残業の多い部署に配属となったことから、このままの生活でよいのだろうかと考えるようになりました。会社は産休育休の取得率も高かったのですが、それらの制度を使ったとしても、そのときの状態では自分たちはもちろん将来生まれてくるであろう子供へも大きな負担がかかることが予想されたため、最終的に退職することにしました。

その後のキャリア③:食品会社 商品技術開発室所属

退職後、夫の職場にほど近い場所に引っ越し、そこから通える食品会社に就職しました。配属されたのは微生物検査課で、新商品やお客様からのご指摘品、各工場の品質管理部で判断できない既存製品の微生物試験を行うのが主な業務です。最近は、より高い安全性を確保するための新しい技術の導入について検討を行っています。

私生活では2人の子供を出産。現在は仕事、家事、育児に振り回されながらではありますが、周囲の協力のおかげで充実感を感じながら過ごすことができています。

私の考える「高専の価値」

  • 大卒に勝るとも劣らない知識と技術を身に付けられる
  • 大学進学や就職に有利

以上については他の方もあげていらっしゃったので、説明は割愛させていただきます。

  • 自発的な行動力

先述した部活動も含め、学生が主体となって動く仕組みは他の学校にはないものであり、「自発的に行動する力」を培うことができるので、とてもよい経験だと感じています。社会では自分で考え、行動することができる人材が求められているので、若いうちから自発性を育む環境に身を置くことができるのは、高専の利点だと私は感じています。

学生に伝えたいこと :女性だからこその高専!技術は身を助ける!

私は学生時代からそれなりに人生設計を立てていたつもりでしたが、見通しが甘かったため、せっかく就職できた会社を短期間で退社せねばなりませんでした。しかし、技術を身につけていたことで、幸いにも希望する仕事に再度就くことができました。自分の経験を通して、人生の選択肢が多い女性にとって技術を身に付けているということは大きな武器であり、それを手に入れるのに高専は最適な場所であると感じています。高専への進学を考えている学生、まずは一歩踏み出してみてください。きっと素敵な経験が得られると思いますよ。