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りゅーかんの高専キャリア教育論

高専生の価値、高専生のキャリアについて議論するためのブログです。

【りゅーかんの仕事の流儀】仕事において重要な「カオスと構造」のバランスについて濱口秀司さんを参照しながら考えてみた

3行でまとめると

  • 世の中の現象はカオスと構造の間にある
  • 仕事においては両者のバランスの取り方が重要
  • 構造化された組織においてカオスを生み出すには

カオスと構造

科学的な定義

(所謂)理系の方は「熱力学第二法則」が大好きでしょう!「キレイに整頓した部屋を放置すると必ず散らかる」という事例が必ず紹介される、エントロピー的なやつですね。エントロピーが効いている世界では、常に最後は平衡化された均質な状態が生み出され、あまねく構造物は姿を消す運命を辿ります。

一方で、現実世界では(これまたよく事例に出る現象なのですが)味噌汁を放っておくと「もやもや模様」がずっと残りますよね?これは、定常開放系における自己組織化といって、(みそしるのように)放っておくと均質な状態になりそうなところで構造物が生じる現象です。この現象を理論的に説明したのはプリコジンという科学者で、1977年にノーベル化学賞を取るに至った『散逸構造』と言われる理論により説明されています。

専門外なので詳しく知りたい人はこのあたりを参照して下さい。

詳細情報の責任は持ちません

散逸構造 - Wikipedia

散逸構造論(プリゴジン)

何が言いたいかというと、我々が触れている世界の現象の殆どは「放っておくとカオスな状態になりそうなところでなんか構造が生まれてくる」という、複雑系における自己組織化の賜物なわけですね。宇宙の生態系、生物進化、文化、経済など、あらゆる構造的な現象の起点にこの理論があるであろうというのが、現在学術的に支持されている見解です。

仕事におけるカオスと構造

(所謂)文系のみなさんはもう見てませんかね。そうですか…残念です。

 

気を取り直して本題に入ります。「イノベーションはカオスと構造の間にある」と言う仮説を提唱している日本人のイノベーターがいます。高専生が大好きなUSBメモリの発明者、濱口秀司さんです。知らない人はこの辺から見てみて下さい。

logmi.jp

彼は、「ビジネスの成功はイノベーションにかかっていて、それはカオスと構造の間にある」という仮説を常に語りかけています。では、仕事におけるカオスと構造とはなんなのか、という話を少ししたいと思います。

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人(法人)で例えてみましょう。左側が構造的なものです。例えば「経団連」「企業」「(フレームワークに馴染んでしまった)社会人」などが該当します。本人が意識しているかどうかは別として、この人達は既存のルールで世界が動かせると思っています。悪く言えば、決まったルールという構造にとらわれてしまっている人達です。右側はカオスなものです。仕事という面で捉えると、若者の(本人にすら意味の分からない)発想力がわかりやすい例となります。この人達はぶっ飛んだ考えはいくらでも思いつくのですが、それを構造的に捉えて、手続きを通じて成果を出すなんてことは一切考えません。

今度は事業で例えてみましょう。左側が大企業の既存事業です。長年培った構造的に確立された事業モデルは、簡単に変えられない部分が沢山出てきます。右側は玉石混交の事業シーズでしょうか。なんかいいな、というアイデアは沢山あるものの、世界に影響を与えるかどうかは全くの未知数であるため、経営観点では「面白そうだけどやらない」と言われてしまうやつです。

さて、図を見て分かる通り、イノベーションを起こすためには両者の間を目指さなければなりません。濱口さんはそれを独りでできる稀有な人材の一人なのですが、普通の人はどちらかに偏っていて、故に組織(企業)としてイノベーションを生み出す方法を考える方が妥当だと思います。

仕事においてはカオスと構造のバランスの取り方が重要

「既存事業が大きすぎて億単位を目指す(特に自己破壊的な)新規事業にゴーサインが出ない」という課題は、イノベーションのジレンマよろしく殆どの大企業が陥っている現状です。ルンバってあるじゃないですか。あれと同じロボット掃除機を、実は日本のメーカーは(ルンバが登場する)10年前に出そうとしていたそうです。でも、「仏壇に当たってロウソクが倒れたらどうするの?」という話で世に出ることはありませんでした(全く異なるタイミングで2人から聞いたので多分本当)。1兆円クラスの売上がある企業にとっては、「世界を変えるかもしれないけれど、目先で数億円しか売上が見立てられないし、もしかしたらブランド毀損になるかも」という事業に投資することは単なる無駄に見えてしまうんですね。それを知らない新規事業の担当者は「無駄やリスクがあるのは当たり前、可能性があるんだからさっさとゴーサインをくれ」と言って、大抵の場合喧嘩別れに終わります。

どちらにも正当な言い分があるわけですが、「イノベーションを起こせなければ死ぬ」という観点で言えば、なんとか両者がバランスのよい落とし所を見つけないといかんわけですね。そのバランスを誰が取るのかというのが問題になるわけですが、先に答えを言うと「構造化されてしまった人にそれはできない」だろうということです。構造からカオスに下る方法は自己崩壊的な活動で、それは構造化したところから意識的に行うことが(理論的に)非常に難しいのです。だから、若手のリーダーが苦難に挑んでイノベーションのポイントを勝ち取らなければならないのです。カオスに近い若手が感傷的にならずに、そういった構造的な戦いがあるという前提でイノベーションを目指すことが求められているのです。

 構造化された組織においてカオスを生み出すには

さてさて優れたアイデアを持つ若者のみなさん、どうやって自らのアイデアイノベーションに導くか知りたいですよね。複雑系と進化の理論を学習するのが一番の近道だと思うのですが、もっとライトにやりたい人は濱口さんの記事でも読んで勉強して下さい。答えを見つけるところからが戦いです。

bizzine.jp

techon.nikkeibp.co.jp