りゅーかんの高専キャリア教育論

高専生の価値、高専生のキャリアについて議論するためのブログです。

「高専はハッカー養成機関」という大胆な仮説

高専卒業生の活躍について企業の人に聞くと、

  • とにかく現場力がすごい、大学生(院生含む)より全然レベルが高い
  • 自分で勝手に考えて仕事してくれる

みたいな評価を必ずと言っていいほど言ってもらえる。それはITベンチャーのエンジニアの評価だけではなく、大手メーカーでも同じだ。どうやら、巷の工学部では旋盤の使い方をマスターさせたり、自然言語処理の演習問題がさらりとぶん投げられたりはしないみたいだね。しかも、活躍している人は必ずしも工学をベースにした仕事はしていなかったりする。営業、企画、マーケティング、経営、いろんなところで高専卒の先輩は活躍しているんだよね。

また、高専卒業生で大成功している人の確率ってちょっと高い気がしている。Yahoo!のCTO、コロプラの社長、さくらインターネットの社長、世界初の風車を作るチャレナジーの社長。起業家もたくさん知っているし、ITベンチャーのCTOなんてざらにいるし、もちろん、大先輩の中には大手メーカーで社長になった人もいる。なんと言っても、あのポケモンを産み出したのは東京高専出身の先輩だ。

 

「オタク集団を集めて圧倒的な現場力の高さを叩き込む」

 

高専教育っていうのは、もしかしてハッカー養成プログラムなんじゃないかな。

ハッカーの定義

最近読んだ本に「ハッカーとはなんたるか」が書かれていた。 

ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち

ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち

 

伝説のLispプログラマで最高峰のハッカーでもあるポールグレアムの著書で、Lispがいかに優れた言語であるかが入念に描かれている。そのついでにハッカーの定義や生態系について書かれているんだけれど、プログラマではない僕がメタ的に共感できるポイントが沢山あったんだよね。

僕はいわゆる企画屋さんなんだけれど、hacker wayの概念に従って業界構造を変えるような仕事を小さく始めることをいつも心掛けているし、組織マネジメントもそうしている。何が言いたいかというと、ハッカーの定義っていうのはもっと汎用的な概念であって、一般的に言われるハッカーはそのプログラマー版なんじゃないかってこと。ちょうど、進化が生物進化だけでなく経済や文化のレイヤーで起こる汎用的なアルゴリズムであるようにね。

 

というわけで、ハッカーの定義を汎用化して「(プログラムに限らず)何かをハックする人全て」としてみよう。

りゅーかんは何をハックしているのか

例えば高専キャリア教育。

2年前くらいにふと「高専生のために何かしたいな」と思い立ってから僕がしてきたことはこんな感じだ。

  • 21世紀を通じて、高専卒業生が優れた仕事を通じて世界を変えると仮定した
  • 高専生がもっと社会で活躍するための企画を考えた
  • Facebookで高専関連のグループに参加しまくった
  • リアルな交流会に参加して自分の企画をぶつけた
  • 企画をブラッシュアップした
  • 高専の先生に意見をぶつけた
  • 機会(学科講演会でのキャリア講演)をもらった
  • 実行した実績をもとに人脈を広げながら企画をブラッシュアップした
  • 「人口オーナス期における若者の早期活躍」というコンセプトを持った
  • 「高専キャリア教育を通じて日本の教育を改革する」というコンセプトを持った
  • 前回より活動をスケールした(キャリア講演会を更に3回実施)
  • 実績を武器に学生、企業、高専、文科省に企画をぶつけた
  • 東京高専で同窓会役員と特別客員准教授の座を手に入れた
  • d.school for Kosenというコンセプトを持った
  • やっていることがお金になる兆しが出てきた(イマココ)

投資家や大企業に話を持ち込んだこともあったけれど、なんだかんだで「実行してブラッシュアアップしてスケールする」という手続きを現場で行なっているところが高専らしいし、とにかく実行しながら事実を積み重ね、大きな取り組みに進化させていくスタイルはハッカー的だと思わない?

ちなみに、僕は有給休暇の大半と大量の時間とお金をかけてこの活動をしているんだけれど、その理由は単に興味があるから。もしさ、高専が日本の高等教育の光だと仮定すると、そこでキャリア教育が成功することで日本の教育が変わる可能性があるわけでしょ?それって最高にクールじゃない?もちろん、間違っていたらただのアホなんだけれど。

変化の時代はハッカーの時代

みんなあまり考えていないんだけれど、日本は順調に人口オーナスの影響を受けて経済活動が停滞し始めているんだ。誰もが知っているあの大企業が潰れ始め、終身雇用は幻想になり、大企業は従業員を守ることができなくなっているし、平均年収は減少の一途を辿っている。一方で、テクノロジーをベースにしたベンチャー企業が新たな産業を生み出すために切磋琢磨している。もちろん、たいていの場合失敗するから安定はしないんだけどね。グローバルの世界でも、大きな流れとして貨幣を中心とした資本主義社会や官僚的組織の成功が終焉しつつある。何が言いたいかというと、産業革命以降に作り上げられた安定した構造が次の構造にシフトし始めいてるんだ。それは、複雑系の世界ではよくあることで、テクノロジーの発達を起点として明らかに大きな変化がたくさん起こり始めている。そして、変化の時代に強いのはハッカーであり、小さく早く動ける企業なのは必然。変化が起こっているということは、権力が脆くなっている証拠だからね。

お前らが勝つ時代が到来するかもね

高専の本質が「実践的な工学教育」ではなく「現場で何かをハックする教育」だと仮定すると、高専生は立派な社会人になるのではなく、社会変化の波を楽しくサーフするハッカーになるべきという結論が導き出されるよね。ちょっと前にチャレナジーの社長と立ち話をしていた時に「僕は高専をベンチャー育成機関にしたらいいと思ってる。」って言われて、それは多分、こうゆうことなんじゃないかと僕は思ってる。変化の時代は次の構造を作ったもん勝ちで、答えは誰も知らないんだ。知的なおたく族の高専生が世界を変えられる可能性を、僕は結構高く見積もっているよ。

 

器用なギークが世界を変えるんだから