読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

りゅーかんの高専キャリア教育論

高専生の価値、高専生のキャリアについて議論するためのブログです。

若者にとっての「働く」意味〜世代間における就労観変化の考察〜

副業マスター兼キャリア教育研究家のりゅーかんです。

先日ご縁があって副業イベントに登壇しました!プレスの人も結構注目するイベントだったんだけれど、りゅーかんはまぁまぁいいトークをしてたらしい。

crowdworks.doorkeeper.jp

で、イベント後にとある雑誌の編集者の人と話をしていて言われたんだ。

  • みなさん副業と言いながら社会的に意義のあることを志向していますよね
  • それって実は、地元のサッカークラブのお手伝いをする父親のような、社会貢献と近しい感覚なのかも知れませんね
  • 若者世代はみんなそういう考え方で働いているのですかね?

なるほど、言われてみると登壇した4人の中にお金のためだけに副業をしている人間はいなかったし、僕の世代でアクティブな人は社会的意義をプロパガンダのように抱えている人が多い。というか、社会的価値のないことがお金にならないと知っている、と言った方が正解かな。

そう、多分だけれど、数十年前の日本社会では「稼ぐ」と「社会貢献」は密接に関連することではなかったんだ。企業は利益を生み出すために活動して、余った利益でCSR活動をして社会貢献をしていたくらいだからね。本業で社会貢献するという考え方は実は新しくて、CSV(Creating Shared Value)と言われたりするんだけれど、僕からしたら何を言っているのかわからない。仕事が社会貢献に繋がらないってあり得るの?って感じるから。つまり、世代というか、社会的な状況に依存して、僕らの労働観は変わってきているってことだね。

そこのところを、人口オーナス問題と関連付けて整理してみよう。

背景として起こっていること

人口オーナス問題による経済成長の停止(安全基地の喪失)

人口オーナス問題については昔説明したのでここを見て。

ryu-kan.hatenablog.com

簡単に言うと、人口減少に伴って長期的な経済の停滞が起こるってことだね。

経済が停滞すると何が起こるんだろうか。

「終身雇用/年功序列制度の実質的崩壊」が先ずあげられるね。誰もが知ってる有名な日本企業(SHARPとか東芝とか)が実質的に潰れようとしていることは、数十年前には絶対に想像できなかったんだ。それが起こっているということは、

  • 若者は同一企業で40年間働ける保証を失っている

ということ。昔は大手メーカーや金融業に就職すれば人生勝ち組だったんだけれど、今はそうではないってことだね。親の世代に就職相談すると「有名な会社に行きなさい」って言われるでしょ?それは、その世代の社会ではそれが人生のゴールとして成立していたからなんだ。でも今は違う。大手メーカーも金融業も10年後に生きているかどうかなんてわからないから、安定を求めた就職という概念自体が幻想と化しているのが実態。でもでも、親の世代はそんなこと知らなかったりするから、自分たちの経験則に基づいて「いい会社=大手メーカー」という考え方を子世代に押し付けたりしてしまう。

しかも、大きな企業が当たり前のように潰れる環境下では、

  • 雇用の流動化により転職市場価値の重要性が高まる

から、一つの会社の働き方や仕組みしか知らないと、実は稼ぐという視点で不利だったりもするんだよね。そりゃそうだよね。いろんな規模の会社でいろんな仕事を経験した方が、柔軟性の高い職業人になるに決まってるじゃん?テクノロジーの進歩によって小さく早く利益を生み出せるようになっていることもあって、一つの会社で働き続けることはある意味でリスクとすら言える状況になっているんだよね。まぁ、物事を長く続けることで得られるものも当然あるから、バランスが大切なんだけれどね。

この辺の流れを一言で言うと、

  • 職業的な安全基地の喪失

って感じかな。人生を安定させるために就職するっていう選択肢は、実質的になくなっているのかも知れない。そして、安全基地を失った人間は挑戦的でなくなることが、心理学的に証明されている。

世界経済における会社のプレゼンス低下(仕事の価値低下)

人口オーナスによる経済的な停滞はもちろん人口が減少している国で起こっていて、世界的には先進国(中でも日本)がそのステージに立っているんだよね。アジア諸国はまだ人口増加のトレンドにあるから、必然的に世界経済の中での日本のプレゼンスは低下する。そうすると、同じ仕事をしていても相対的にその仕事の価値が低下するよね。何が言いたいかっていうと、

  • 会社の仕事に人生をかける理由(やりがい)が見出し難くなっている

はずなんだ。そりゃそうだよね。「Japan as no.1」とか言われていた時代は、何をやっても「日本スゲー!」って言われてたのが、今は「へぇ」って言われるわけだから。これは結構大切な話で、同じ会社で同じ仕事をしていても、世代によって感じる「やりがい」のレベルが変わっているんだ。数十年前と同じ仕事をすることが、基本的には不満の種になるわけで、そのギャップを世代間で分かち合うのはこれまた難しい。副業を含めた外向きの活動というのは、原点にこういった構造的な不満があるのかも知れないね。

結果として起こっていること

会社に対するロイヤリティが下がっている(「仕事は仕事」という考え方の自己強化)

ここ20年くらいで企業が新たに抱え始めた問題として、

  • 仕事とプライベートが明確に区切られ人間的な関係性が薄れている
  • 長時間労働やパワハラなどが問題視されコンプライアンスが重視されている

ことがあると思う。みんな信じられないだろうけれど、昔は社員は家族で、一緒に運動会をしたり旅行をしたりしていたし、上司に殴られてもその後飲みに行ってお涙頂戴的なストーリーが待っていたんだよね。でも、最近はそんな気配感じないよね。運動会なんてやらないし、飲み会も行かないし、上司に殴られたら速攻コンプライアンスの直通電話だよ。違法な長時間労働なんて以ての外で、経産省と厚労省から突っつかれて営業停止になっちゃうからね。何が起きているかっていうと、背景として会社が安全基地の機能を失ったことで、そこで働く僕たちは自分のことを自分で守る必要が生じていて、会社との距離感が急速に離れているんだよね。政府もそれを認識しているから、法整備も含めて「会社は会社、個人は個人」ていう価値観を推進している。

自己実現欲を満たす場を会社の外に求めている(自己実現の場の探求)

そして、会社の仕事が相対的に価値を失うと、自己実現の場がなくなるから外に探しに行くようになるよね。「自己実現なんていらないし」とか思ってる君はマズローを勉強したまえ。人が自己実現を求めてしまうことが心理学的に語られているから。

そうなると、

  • 本業以外の場で活動(NPO/副業/複業)する人が増える
  • 社会的意義の高い仕事を選ぶ志向性が増す

ことは必然だよね。だって、会社で働いても安全じゃないし、やりがいもないんだから。

すごいよね。数十年前は「転職」って禁句だったし、「長時間労働」「会社のために生きる」なんて当たり前だったのに、今は真逆のトレンドになりつつあるわけだ。

これからの「働く」

  • 「会社が安全基地であり自己実現の場である」と考える団塊ジュニアまでの世代
  • 「会社は安全基地ではなく自己実現もできない」と考える若者世代

この2者の会社に対する評価って真逆だよね。だから、お互いのスタンスを理解/納得する難易度は高い。でも、社会の大きな流れは誰にも変えられないから、若者は自分の価値を見出す努力を一層しなきゃならなくなるし、自己実現の場を自ら作らなきゃならなくなると僕は思う。

働くっていうことの本質的な意味が、問われる時代になっているのかもね。

 

完全なる経営

完全なる経営

  • 作者: アブラハム・マズロー,金井寿宏,大川修二
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
  • 発売日: 2001/11/30
  • メディア: 単行本
  • 購入: 5人 クリック: 40回
  • この商品を含むブログ (22件) を見る